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新宿で働くIT系プロダクトマネージャーが語る会社員の働き方・生き方

プロダクトマネージャーになると心が広くなっていく

何を隠そう、私の職業はプロダクトマネージャーというものです。

プロダクトマネージャーって仕事の響きからするとかっこよく聞こえませんかね?

私は過去そう思っていました。

 

社会人になりたての頃、プロダクトマネージャーといえば、多角的な知識と視点を持っていて、社内中のいろんな人と適切にコミュニケーションをとっていて、担当製品について意思決定をするリーダーで、膨大な量の仕事をこなす、ちょっと別格な仕事に見えていました。

 

私はもともとその職種を目指したわけではないのですが、事業を運営できるようになりたいと思っていて、その願いを考えた先にプロダクトマネージャーという仕事に就けたという流れです。もう約10年ほど前の話です。

 

ちなみに事業をやりたいなら自分でやればいいじゃん…という発想ももちろん世間にはあって、それを時たま指摘されることがありました。

しかし当時の自分には技術力も人脈もなかったので、会社の様々な方々のタレントを活用できて、お金も出資してもらえて、キャリアにもスキルにもなるプロダクトマネージャーという選択肢は自分にとっては良い道だと感じていました。

 

そんな背景でプロダクトマネージャーという道を歩み始めた私ですが、そこで求められたリーダーシップ像は当初想像していたものとは少し違いました。

 

一応、外面的には以下のような感じですよ。

 

○製品で解決できるお客様のニーズを要件として明確化する

○担当する製品の仕様について意思決定をする

○製品が目指すビジネスの方向を明らかにし、ビジネスモデルを作り上げる

 

めちゃくちゃかっこよくないですか?

言ってしまえばその製品の社長ですよ、社長。

冒頭にも書いた通り、製品に関するあらゆることを熟知していて、バシバシっと物事を決めて周囲を動かして道を切り開いていく…そんなイメージでした。

 

ではこれに対して、現在実際に仕事をやっている実態はどうかというとこんな感じです。

 

○製品で解決できるお客様のニーズを要件として明確化する

→私:「こういうニーズがあると思われるので、実際どうかちょっと調査の相談にのってくれないかしら?」

→リサーチ担当:「いいですよ、やるとしたらこういう観点から見ていくのが良いかもしれないですね。ちなみに調査費予算30万円以内ならできますので、こんなやり方です。」

 

○担当する製品の仕様について意思決定をする

→私:「こういうお困りごとを解決したいので、技術的に解決できるアイデアはないかしら。」

→エンジニア:「2つアイデアがありますよ、1つ目はよりよいですがちょっと時間がかかります、もう一方は少しユーザビリティが微妙ですが来週にはできそうですね」

 

○製品が目指すビジネスの方向を明らかにし、ビジネスモデルを作り上げる

→私:「以上、ユーザニーズと技術的な観点から製品としてはこちらの方向に向かわせることと、昨今の市場の背景からこのようなビジネスモデルにて収益をあげていこうと考えています」

→経営陣:「それもあるけど、もっとこういうやり方もあるんじゃないのか?」

 

おわかりいただけただろうか。笑

そうです、製品のプロフェッショナルなので自分に責任はあるのですが、みんなの意見と事情を汲んで、一緒に作り上げていくというシーンがめちゃくちゃ多いです。

 

この職種に就いたとき、当初勘違いしていました。

「プロダクトマネージャーは製品に対して責任を負わなければいけないし、うまくいかなければ立場が危うくなるし、なんとか成功させなければならない」そういうメンタリティで、「みんなはなんでも言うことを聞くべきもの」と思っていました。なんならちょっと上位職くらいの印象に捉えていました。

 

もう少しわかりやすく書くと、当初のコミュニケーションスタイルはこのような感じです。

 

○製品で解決できるお客様のニーズを要件として明確化する

→私:「こういうニーズがあると思われるので、調査をお願いします。(そちらの都合は知りません、結果が欲しいです)」

 

○担当する製品の仕様について意思決定をする

→私:「こういうお困りごとを解決したいので、こうやって解決したいからこう作ってください。(こうなっていればお客さんは良いはずだから、エンジニアはそれに従って作ってくれさえすればいいんです)」

 

 

「なんとか成功させなければいけない」というメンタリティは決して誤ってはいないのですが、今思えば成功に向かっていくための考え方が誤っていたと思っています。結果的に、それはコミュニケーションのスタイルに現れていたと思います。

 

上記のようなコミュニケーションスタイルだと、自分が発想できたことが限界になります。つまり自分の限界が製品の限界、ビジネスの限界になってしまいます。

いかに、自分の限界を認めて、周囲のプロフェッショナルにアドバイスをもらってひとつひとつ意思決定をしていくかが大事です。それによって、多角的に検討された製品仕様になる上、社内的にも「みんなで作ったもの」という意識が芽生えてチームの結束力があがったり、みんなが製品のことを好きになってくれたりします。

 

「製品は自分のものだ」と思い込んでしまうとなかなか至らない発想です。ここはプライドが高い人ほど気をつけなければならないと思います。

 

もちろん、みんなの意見を聞いてそれを集約させる、、というだけではダメだと思っています。各プロフェッショナルの話を聞くのに十分な知識を継続的に勉強して身につけた上で、意見を自分で消化して、自分なりのオリジナリティを出していく必要があります。そこにこそプロダクトマネージャーの価値のひとつがあると思っています。

 

このあたりは私も何年か経って気づいたところでした。

プロダクトひとつ育てていくために、プロダクトマネージャーとしてスキルをどうやって高めていくかを私なりに考えてきましたが、それは同時にリーダーシップがどうあるべきか…というのを考えさせられましたね。

 

製品がお客さんに受け入れられるものになっていくためには、まずは社内で関わる周囲の方々から信頼を獲得して、意見をもらっていけるようになる必要があります。一人の考え方で全てうまくいくなんてことはないでしょう。

 

逆にみんなと作っていけると自分も製品に対して自信がついてきますし、気持ちも楽になってきます。

 

プロダクトマネジメントを志している方はぜひこのあたりを見つめられるといいかなと思います。